きゃりーぱみゅぱみゅと原宿カワイイはこうして世界に広がった(2)~リアルはリアルを離れることでさらにリアルに感じられる

きゃりーぱみゅぱみゅ 原宿カワイイ

こちらは、以下の記事に続く第2話となります。
 icon-arrow-circle-right きゃりーぱみゅぱみゅと原宿カワイイはこうして世界に広がった(1)~増田セバスチャン物語

第1話にて、きゃりーぱみゅぱみゅのアートディレクターでもある増田セバスチャンさんが、無名のアーティストとしてニューヨークに個展で殴り込みをかけどえらい成功を収めたことを紹介しました。


文化は今いるところではなく飛び出してこそ再構築されるという話


増田セバスチャンさんによると、この個展での成果としては;
アメリカにはこれまで東京をイメージしたアーティストや、歌手がたくさん排出されているのに、そのルーツはなんなんだろうという漠然とした疑問があって、その答として実は原宿がそのルーツのひとつであると認識してくれたことだと説明しています。

というのは、もともとニューヨークというの色のない町だという認識があって、普通だったら白い壁に作品を飾るのが常識ですが、それを全部無視して壁を色で覆ったのがセバスチャンさんの個展でした。。

この常識外れの試みが珍しく思われ、受けた理由だろうということでした。

これによって、東京の原宿の今のカルチャーとして、その中をアメリカ的に汲み取って作られたものだという認識ができたと。

「これは、私たちがいいねを押すに値するものだ」という認識がアメリカの人たちの間に生まれたわけです。

こういった説明に対して、佐々木俊尚さんのコメントは私にとって腑に落ちる思いがしました。

まず、私たちの普段の思考形態のひとつに「型にはめる」というものがあります。
新宿ならこういうもの、原宿ならこういうもの、秋葉原ならこういうもの・・とそれぞれなんとなくでも定義がありますよね、それです。

その定義をそのままではなく再定義したのが今回の個展であるということです。
そこの場にいたのでは再定義できなくて、だからこそ一旦東京を出てニューヨークなんですね。

原宿カルチャってこうだよね、という私たち自身のステレオタイプな枠組みではなく、ニューヨークではもっと別な文化として再定義されようとしたのではないか、と。


ネットとテクノロジーで非言語化し身体化するという話


もうひとつの捉え方として、最近インターネットのテクノロジーでよく言われている、非言語化、身体化というものをとりあげています。

なんとなく難しい表現ですけど、LINEをみたら一発でわかります。

LINEのスタンプのことです。
スタンプ使って、全く言語(テキスト、文章)を交わさずにコミュニケーションし、感情が伝わることって日常的なものとしてご理解いただけるかと思います。

しかもスタンプによって、表面的な感情だけでなく裏の感情も送っていて、それが伝わる。
それが非言語コミュニケーションの面白い特徴です。

もうひとつ、テクノロジーによる身体化というのはさらに奥深い意味をもたらしています。
こちらの記事でもご紹介した話と関連しています。

 icon-arrow-circle-right 臼井二美男さんと11人のカーボン・アスリート~美しい義足戦士たち

テクノロジー進化の加速については、近年驚くほどです。

たとえばパラリンピックで義足をつけたランナーは、普通の人が全速で走るよりもはるかに速かったりします。
義足でスキーを滑ったほうが、普通の両足使った滑りよりも速かったりします。

これまでこの手のテクノロジーは生活に支障をなるべくきたさないための補助手段であったわけです。

それが今や、あまりよい表現ではありませんがサイボーグ化してきていると言えます。
それにそのほうが、人間のパフォーマンスがむしろ高まるという現象が起き始めています。

非言語化にしても、身体化にしてももともとのリアルだった世界から少し離れたところにあるわけですが、それが実は一番リアルに感じる、というそういった時代、世界に私たちは突入しているというわけです。

佐々木さんによると、原宿カワイイ文化もこういったことなんじゃないかということです。

リアル空間に我々は生きているんだけども、そのリアル空間さえも、もはや文脈の中で現実の物理空間から離れたところに我々はリアルを感じることになる。

(中略)現実を侵食しているという。そういうのを感じましたね。

ということです。


グローバリゼーションで文化を混ぜ合わさる


最後にもうひとつがこれです。
先ほど解説した再定義の話です。

日本の中で、原宿カワイイ文化を消費するとどうなるか?

結局その文化は「原宿カワイイ」の定義だけになってしまいます。
しかしこのままこれをニューヨークに持っていくことで、日本で定義されていた原宿カワイイの定義の外で化学反応が起きて、もう一度認識され定義される・・・・
その事例がこの個展であったわけです。

グローバリゼーションのインパクトについて、佐々木俊尚さん著の『キュレーションの時代』にある話も印象深いものでした。

中世のグローバリゼーションについて書かれています。

それまで中国を中心とする東の文明と、地中海や中東の西の文明は分離していて、ほとんど行き来がありませんでした。

その背景には、ユーラシア大陸中心部が砂漠や高山で隔てられ、シルクロードのような路しかなくでも通行が難しかったということがあるんですね。

ところが12世紀から13世紀ぐらいにモンゴル帝国が大陸を統一し、双方の行き来を簡単にしてしまったんです。

強盗、盗賊が出てこないようにちゃんと警察を置き、道路を整備しました。さらに不換紙幣を発行し、関税を撤廃したんです。
その結果何が起きたかというと、文化のミックスです。

中国に白磁という白くきれいな磁器がありますよね。あれに絵を書くという文化は、中国では全く存在してませんでした。

一方で中東には、イスラムブルーと呼ばれる青い染料があって、でもこれを陶磁器に使うという文化はなかった。そのイスラムブルーとと中国の白磁がモンゴル帝国の開いた東西の交流によって出会い、青花という白磁に青い絵を描いた磁器が生まれたんです。

う~ん、こういった大きな動きだけではなく、私たちの小さな文化圏の交流だけでもいろいろなカルチャが生まれたりしていますよね。
姉妹都市なんかの友好関係を結ぶだけで、必ず今までになかった何かが生まれたりするのもそのひとつですね。

グローバリゼーションは止まらないので、これから先も無数にクラスタ化された文化が絶えず衝突し、新しい文化を創造し、人々の生活にインパクトをもたらす動きは加速していくだけでしょう。

さてここまで長い記事、お疲れ様でした。
ただきゃりーは、これから先まだまだ出てきますよ、この物語におけるとても重要なアイコンなのです。

次回はこの流れのまま、メインとなるカルチャーはこれからどんどん消滅し、すべてはサブカルチャ化していくお話へと続きます。

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